JR奈良駅から南方へ約2kmにある奈良-南都『大安寺』とその周辺にある『八幡神社』『大安寺塔跡』についてご紹介します。また大安寺周辺へのアクセスはJR奈良駅、近鉄奈良駅から路線バスがあります。
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大安寺と周辺には
▶大安寺
▶元岩清水八幡宮
▶大安寺旧境内
・杉山古墳地区
・塔院地区(東西塔跡)
・僧房地区
・経楼地区
・南大門地区(大安寺南門)
があります。
ここに注目! 本堂を参拝し、讃仰殿(宝物殿)で奈良時代の7体の仏様を拝む |
ここは何? |
内部を拝観できる一般に開放された寺院。 |
何ができる? |
本堂に入って参拝、讃仰殿(宝物殿)での参拝。境内の散策。 |
どんな所? |
平城京の時代には巨大な寺院が存在したがのちの時代に消失。明治以降に復興が進められ現在に至る。 |
何がある? |
本堂(入堂可) 讃仰殿(宝物殿) 十一面観音像(本堂に安置。秘仏。秋に特別公開。重要文化財) 奈良時代の7体の仏像(讃仰殿に安置) |
どんな大きさ? |
本堂を中心に、おおよそ全体を見渡すことができる広さ |
文化財登録 |
重要文化財 十一面観音像(本堂に安置。秘仏。秋に特別公開。重要文化財) 馬頭観音立像(秘仏。3月に特別公開) 不空羂索観音(讃仰殿に安置) 楊柳観音(讃仰殿に安置) 聖観音立像(讃仰殿に安置) 四天王立像(讃仰殿に安置) 史跡 大安寺旧境内附石橋瓦窯跡 |
大安寺は飛鳥時代に聖徳太子が発願した道場が始まりです。移転、改称を繰り返し、最終的に藤原京の「大官大寺」を平城遷都の後に大安寺と改めて現在地の平城京域内に移されることになります。
平城京での大安寺は広大な敷地に約90のお堂が建つ壮大な伽藍が建造されました。日本人による仏教の勉学だけでなく海外の僧も迎え、現代では奈良時代の大安寺の様子を「大学」と表現して紹介する媒体もあります。
平城京が都としての機能を失った後、火災や地震により衰退して行く運命をたどります。明治以降に再興の道を歩み、本堂(大正時代)、宝物殿としての機能がある讃仰殿(昭和時代)がある境内には平成に再建された南門から境内に入ることとなります。本堂の十一面観音立像(秘仏・期間限定公開)や讃仰殿に安置されてある不空羂索観音や四天王は奈良時代からの仏像であり往時の姿と人々の祈りを今に伝えます。
大安寺の竹でお酒をたためて召し上がった光仁天皇が長寿命を全うしたことを背景にして、「ささ酒祭り」でふるまわれる「笹酒」は癌封じとして知られテレビでの紹介もあり例年大勢の参拝客がお寺を訪ねます。戦後からは癌封じの寺として信仰を集める事になります。
ここに注目! 大安寺の鎮守 森の中にある参道と社殿 |
ここは何? |
拝殿から参拝できる一般に開放された神社 |
何ができる? |
拝殿より参拝。境内を概ね一周できる。 |
どんな所? |
大安寺の鎮守として創建。大安寺より南へ歩いてすぐ |
何がある? |
参道 八幡神社中門(奈良市指定文化財) 社殿 |
どんな大きさ? |
見渡せるほどの広さに社殿がある |
文化財登録 |
奈良市指定文化財 八幡神社中門 史跡 大安寺旧境内附石橋瓦窯跡 |
大安寺から南へ5分程歩いた場所に「元石清水八幡宮」があります。807年に大安寺の鎮守として建てられたものです。「宇佐八幡宮」との関係や男山の「石清水八幡宮」との関係は公式サイトにて解説されています。
奈良市指定文化財の「八幡神社中門」は室町時代の建築で江戸時代に改築され現在の姿になっています。
ここに注目! 大安寺周辺に点在する遺跡公園 |
ここは何? |
自由に散策ができる遺跡公園 |
何ができる? |
散策、部分復原された建物などを見ながら、解説看板を読み往時を理解する |
どんな所? |
奈良時代の大安寺の境内はその後に集落や田畑に変わる。現在の大安寺を中心に南北の4ヶ所に分かれその一部が保存、整備されている。 |
何がある? |
大安寺周辺に4ヶ所に分かれています。 【杉山古墳地区】 古墳 瓦窯の復原模型 【僧房地区】 建物基壇の復原 【経楼地区】 建物跡の表示 「史跡 大安寺旧境内」の石碑 【南大門地区】 建物基壇の復原 ※現在の大安寺の南門が上に建つ 【塔院地区】 西塔跡の盛土 西塔の心礎(心柱の礎石) 東塔の基壇復原 |
どんな大きさ? |
【杉山古墳地区】 公園入口より約60mほど歩くと広場があり全貌がわかる 【僧房地区】 道を挟んで全体が見れるほどの大きさ 【経楼地区】 小さな公園程度の大きさ 【南大門地区】 寺院の門の大きさ 【塔院地区】 東西200mに満たない大きさ |
文化財登録 |
史跡 大安寺旧境内附石橋瓦窯跡 |
【奈良時代に古墳が境内に取り込まれる】
「杉山古墳」は古墳時代に築造され、平城京造営の際に大安寺旧境内に取り込まれ「池并岳」との記録もあります。
奈良時代は壮大な伽藍を備えましたが、その後の時代に衰退します(詳しくは大安寺の項目を参照。)
【大正時代以降に遺跡の保存が始まる】
明治時代より西塔跡に残る礎石の保存が始まり、1921年(大正10年)に「大安寺塔跡」が史跡指定されました。戦後1968年にそのほかの部分も史跡指定に加えられ「大安寺旧境内」となります。
一方で、史跡指定により影響を受ける住民との問題解決を図りつつも保存をするため、奈良市教育委員会により1978年「史跡大安寺旧境内保存計画書」が策定されます。これは高度成長期を背景として、史跡の性格や現状を考慮した3つの区分に分けたもので、最も重要なエリアから公有化や調査、整備に着手されました、
【平成時代に整備が進む】
1993年以降の10年間に「杉山古墳地区」「僧房地区」「経楼地区」「南大門地区」を相次いで整備されました。
2006年に京都府井手町にある大安寺創建時の瓦窯跡も史跡に追加され「大安寺旧境内附石橋瓦窯跡」となります。
これまでに遺構が確認されていたり優先的に公有化を進めていた「塔院地区」において、2007年に「史跡大安寺旧境内塔院地区整備基本計画」を策定し、2018年までに整備されました。
【これからの大安寺旧境内】
近隣に京奈和自動車道のインターチェンジ、JR大和路線の新駅が新たに決まったことや、奈良市全体の新たな計画など1978年の「史跡大安寺旧境内保存計画書」が現状にそぐわない状況となりました。
2020年「史跡大安寺旧境内保存活用計画」が策定。当時の遺物が地下に残り、遺構が良好的に残っていることに加え、古墳との共存が図られた珍しい例が価値として評価されました。保存区分においては再整理をしたほか、活用、整備、管理・運営、住民との共生・共存についてまとめられています。
▶備考
祭事開催の際は臨時バスが運行されることがあります。祭事前に奈良交通公式サイトにて掲載があります。
近鉄奈良駅・JR奈良駅 ▼ 大安寺 |
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乗車バス停(いずれかから) | ||
「近鉄奈良駅」 |
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「JR奈良駅」 |
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乗車するバス | ||
奈良交通バス | ||
▶近鉄奈良駅12番乗り場 ▶JR奈良駅東口7番乗り場 ・「白土町」行 ・「シャープ前」行 ・「イオンモール大和郡山」行 ・「杏南町」行 (日中本数目安合計4本/1h) ▶近鉄奈良駅14番乗り場 ▶JR奈良駅東口7番乗り場 ・「杏中町」行 (日中本数目安1本/1h) ▶近鉄奈良駅8番乗り場 ▶JR奈良駅西口13番乗り場 ・「大安寺」行 (JR奈良駅西口経由) (日中本数目安1本/1h) |
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下車バス停 | ||
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「大安寺」下車 |
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大安寺まで徒歩800m |
大安寺 ▼ JR奈良駅・近鉄奈良駅 |
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乗車バス停(いずれかから) | ||
「大安寺」 |
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乗車するバス | ||
奈良交通バス | ||
▶自動車用品店横の歩道 ・「近鉄奈良駅」行 (日中本数目安合計5本/1h) ▶スーパーマーケット駐車場内 ・「青山住宅」行 (日中本数目安1本/1h) |
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下車バス停 | ||
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「JR奈良駅」下車 |
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「近鉄奈良駅」下車 |
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GoogleMap(近鉄奈良駅行のおりば) |
大安寺には無料駐車場があります。ただし大規模な駐車場ではありませんので繁忙日には満車となる場合がありますのでご注意ください。また、催事開催日は駐車場が閉鎖される場合があります。
このページでご紹介したその他の施設には駐車場はありません
自転車では奈良公園や平城宮跡を一体的に周遊できる距離となります。
▶JR奈良駅より 約2km
▶奈良公園猿沢池より 約3km
▶平城宮跡朱雀門より 約4km
▶近鉄西ノ京駅より 約3km
参考文献
奈良交通公式サイト https://www.narakotsu.co.jp/
大安寺公式サイト http://www.daianji.or.jp/
元石清水八幡宮公式サイト https://hachimanjinja.net/
史跡大安寺旧境内 保存活用計画(奈良市教育委員会、PDF)https://www.city.nara.lg.jp/uploaded/attachment/177765.pdf
奈良交通公式サイト https://www.narakotsu.co.jp/
奈良バスなびweb https://navi.narakotsu.co.jp/
ええ古都なら>元石清水八幡宮 http://www.nantokanko.jp/midokoro/1343.html
毎日新聞「大安寺の宝物殿(奈良市) 増改修終え一般公開 天平仏とCG、盛衰伝え /奈良」https://mainichi.jp/articles/20230517/ddl/k29/040/241000c
「ドラマチック奈良 昔むかしをつぶさに歩く」京阪奈情報教育出版 小倉つき子 2010年
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